「ウェブ・リテラシー」と「読み書きそろばん」

昔から、「読み書きそろばん」が学習の根本だとよく言われます。今風に言い換えれば、「読解力・表現力・計算力」が重要だ、というところでしょうか。

私も、「読解力・表現力・計算力」が重要だという点について異論を差し挟むつもりはありません。が、この複雑な現代社会、「読み書きそろばん」だけではちょっと苦しいのではないか、という気がするのも事実です。

で、他に必要なスキルを考えてみると、いくらでも出てくるわけですが、最近よく言われるのが「ウェブ・リテラシー(ネット・リテラシー)」

「ウェブ・リテラシーがないと現代社会を生き抜けない」「デジタル・デバイドがウェブ・リテラシーの格差を生み、それが経済的な格差を生む」といった類の議論をよく聞きますよね。

「ウェブ・リテラシー」(web literacy) は、「ウェブやネットを活用する能力や教養」と定義できるでしょうが、その具体的な内容はかなり不明確で、共通認識はまだ確立されていないように思います。

ここはその道の大家、梅田望夫氏の著書「ウェブ時代をゆく」の関連箇所を少々引用したいと思います(ちなみに、梅田望夫氏の著書はどれを読んでも面白く為になるのでオススメです)。

以下、梅田望夫「ウェブ時代をゆく」(ちくま新書) P208-209より引用

ウェブ・リテラシーとは、たとえばこんなことである。
(1) ネットの世界がどういう仕組みで動いているのかの原理は相当詳しく徹底的に理解している。
(2) ウェブで何かを表現したいと思ったらすぐにそれができるくらいまでのサイト構築能力を身につけている(ブログ・サービスを使って文を書くとかそういうことではなくて)。
(3) 「ウェブ上の分身にカネを稼がせてみよう」みたいな話を聞けば、手をさっさと動かしてそこに新しい技術を入れ込んだりしながらサイトを作って実験ができる。広告収入の正確な流れも含め「バーチャル経済圏」がどういう仕組みで動いているかの深い理解がある。
(4) ウェブ上に溢れる新しい技術についての解説を読んで独学できるレベルまで、ITやウェブに対する理解とプログラミング能力を持つ。

個人的には、
(1) 徹底的と言われると心許ないですが、それなりには。
(2) あまり凝ったものでなければ、それなりには。
(3) 深い理解にまでは達していませんが、それなりには。
(4) プログラミングの経験がないので能力なし。
という感じです。「それなり」と「無理」ばかりで、まだまだ未熟者です……。

今後上述のような能力が重要になる、というより、もう既に重要になっていることは間違いないので、私としても更に勉強しておきたい分野です。

ただ、この「ウェブ・リテラシー」、塾で取り扱うのが難しい分野です。自分の勉強不足をとりあえず横に置いても、学校で習わない分野である=試験・入試に出ない分野であるという点が大きい。もちろん、ハッキリとした内実がない点もあげられます。ということで、現状ではご家庭の教育環境によるところが大きいと言わざるを得ません。

ちょっと不安を煽ってしまったかもしれません。ただ、このブログを読んでおられるということは、ネットに親しんでおられるはずで、ご心配には及びません。まだまだ大丈夫!

それでも不安だという人は下記のビデオをどうぞ。まだまだ大丈夫だと自信が持てるかと思います(笑)。

(※ ビデオが削除されてしまっているので、概要を下記に示します。)

米国のどこかの街角。インタビューアーが一般人に尋ねています。

Q「ブラウザって何だか知っていますか?」
A「何かを探すヤツだよな!」
A「グーグルだよ!他に何があるのさ!」
A「ヤフーを使ってるわ!」

それはサーチエンジン(検索エンジン)やんか……。