心臓マッサージは “Stayin’ Alive” で

ちょっと前の記事で、ビージーズ “Stayin’ Alive” に少し触れたんですが、それと関連して最近話題になった話を。人の命に関わる話です。


いわゆるディスコ・サウンドについて話すと長くなります。というのも私が洋楽に触れだした頃、つまり私が小学1年生の頃に欧米圏を風靡していたのが「ディスコ・ミュージック」だったんです。。

一時は(高校生の頃なんですけどね)音楽評論の道に進みたいと真剣に考えていたこともあるぐらいなので、今はもちろんディスコ・ミュージックの歴史的背景や商業的な意味も客観的に見ることが出来ますが、当時は年端も行かない子ども。いとこのお兄ちゃんにもらったカセットテープはあまりにも魅力的な曲ばかりで、すり切れるほど聞いていました。歌っていることは何も分かんないけど、なんて格好良い曲なんだろう!そうやって刷り込みされてきたわけです。

で、この “Stayin’ Alive” 、子供心に何か他の曲と違う感じを受けていたんですよね。もちろん映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の挿入曲として大ヒットした曲なので、その頃から耳タコナンバーでしたが、何か他のヒット曲とムードが違う。何かのめり込めないものがある。

小学低学年の私には、それが何に起因するのかは全く説明できなかったんですけどね。ディスコ音楽は米国黒人音楽の流れを引く音楽、というかその頃の米国黒人音楽のメインストリーム。一方、この “Stayin’ Alive” を歌うビージーズはイギリス・マン島出身の白人3人兄弟。そりゃ、異端もいいところです。ここまでハイトーンのヴォーカルも黒人音楽では珍しいですしね。

当のビージーズも「ディスコ・ミュージック」と呼ばれることを潔しとしなかったみたいなんですが、それがディスコ・ミュージック最大のヒット曲になるわけで、世の中は不思議なものです。


ディスコ音楽の話はそれぐらいで切り上げて本題。

この “Stayin’ Alive” のリズム、実は心停止している人に施す「心臓マッサージ」に最適なリズムらしいんです。

目の前で心停止してしまった人がいれば、一人の人間として何とかしてあげたい気持ちは誰しもが持っていると思うんですよね。でも、どのようにマッサージを施せば良いのかが分からない。誤った方法でマッサージを行い、逆に心停止してしまった人に致命的なことをしてしまうかもしれない。しかし、手をこまねいて見ているだけでは救える命をみすみす失ってしまうかもしれない。どうすればいいのか……。もちろん医療従事者がそばにいるなら適切な処置をお願いすればいいでしょうが、自分一人しかいなかったら……。

今までに知っていたのは、「肋骨が折れてもいいから全力でやれ」「1秒間に2回押せ」というような断片的な事柄のみ。そもそも、1秒間に2回と言われても、なかなか実感が持てません。ある医師は『アンパンマンのマーチ』で押せとおっしゃっていたんですが、そもそもその曲に馴染みがありません。

そこで最近知ったのが下記動画。うん、これはとても役立つ動画です。というか、社会的に非常に意義のある動画だと思います。実際に見ていただくのが一番ですが、「心臓マッサージ」のBGMに “Stayin’ Alive” (生き続ける) だなんて、出来すぎ上手すぎ!

しかもイギリス人らしく、少しブラックユーモアが入っているのもいいんですよ。日本だったら、絶対に文句をつける人がいると思います。というか、自己規制しちゃうでしょうね。

正直、BPM=120ぐらいの曲であればなんでもいいんでしょうが、やっぱり “Stayin’ Alive” ほどこの場面に即した曲はないでしょう。イギリス心臓協会の慧眼に拍手。

皆さんもご一緒に。

Ah, ha, ha, ha, stayin’ alive! stayin’ alive!
Ah, ha, ha, ha, stayin’ alive!

元の曲はこちら。

Bee Gees – Stayin’ Alive (1977)