以下、京大入試対策上大きな意味を持っている情報だと思うので、ブログ記事にしておきます。
今年(2011年)の京大の入試は、受験生による問題流出(現時点ではそう報道されています)で大騒ぎになっています。そのせいというわけでもないんですが、私も関連報道ばかり読んでいて、肝心の京大入試問題は英語や文系国語しかチェックしていませんでした。私のとっている新聞に理系国語は掲載されていなかったのです。
現在のところ、大学受験生指導はしばらくお休みしているんですが、大学入試問題の調査をしておく必要があることには違いありません。まぁ、これも一種の仕事です。
で、先程、某予備校の発表している京大理系国語の問題を見ていたんですが、林達夫「文章について」から出題された第二問に、何となくデジャビュ(既視感)を覚えます。
この林達夫の文章、どこかで読んだことがある……。それも個人的な読書生活の中で読んだのではなく、「入試問題」として見たような気がする……。
センター試験であっただろうかと、電子化してある手元のデータを調べてみましたが、林達夫の文章が見あたらない。Googleで検索してみても、やはり林達夫の文章からセンター試験が出題されたことはなさそうです。
どこの大学だったっけ?ひょっとして?と思いながら、手持ちの電子データで京大の過去入試問題を調べてみると、ありました!
京都大学 昭和63年度(1988年度)A日程 国語 第一問。
ここに出題されている問題文は、本年度(平成23年・2011年)の京大入試理系国語第二問と全く同一の文章です。引用されている部分も寸分違わず一緒。これは入試対策上、極めて大きな意味を持っている情報だと思います。はっきりと断定はできませんが、ここ20年程度の京大入試(国語)のなかで、過去と全く同じ文章を用いた問題というのはなかったはず。
問題こそ、異なる部分に傍線が引かれていますが、林達夫のこの文章の趣旨を聞いているという点において、類似性は極めて高いと言えます。もし仮にこの過去問題を勉強していれば、大幅に(もっと言えば合否を左右するレベルで)有利になったであろうことは断言できます。
といって、去年、私が京大を受験する生徒を指導していたとしても、ここまで古い問題を使っては指導していなかったでしょう。全国レベルで見ても、この問題を研究していた受験生は皆無であろうと思います。
そういう意味で、不公平が生じているわけではありませんが、京大で入試問題(の出題文)が再利用されるというのは、少し驚きです。
来年度以降の京大国語の出題がどうなるかは私にも分かりません。が、受験勉強における「過去問の重要性」は、このブログで何度も述べているとおりです。「同一の問題が出るわけではないけれど、同様の問題を解けるようにする」という意味において、過去問は最も重要視すべき勉強の対象です。
余談になりますが、上記の昭和63年度(1988年)は、私が京大を受験した年度です。この頃はA日程・B日程という制度があり、一応2度の受験機会があったんですが、A日程に私が受験したいと思える大学はありませんでした(京都も東京も法学部はB日程だけだったはず)。行く気持ちのない大学を受験するぐらいなら、家で直前の追い込み勉強をしている方がいいや、ということで、家でA日程の問題を眺めていた覚えがあるんですね。同じ考えから私大も受験しなかったので、私の大学受験経験は実は1回こっきりということになります。
その割に、受験とは云々なんて偉そうに指導しております。仕事上のことはいえ、自分でもちょっと不可思議な気がしています……(笑)。