昨日(2025.01.18)実施された、2025年度共通テスト国語の問題をさっそく見てみたんですが、全体的に見て受験生が処しやすい問題になったように思います。選択肢の数が4つになったのが大きいですね。
今年は解説を書いている余裕がないので、違う観点から雑感をば。
共通テストの問題を見ていて例年思うことなんですが、高得点を狙う人は、漢文満点を狙うべきだと思います。本番でもかなり短時間で問題を解ききれますしね。今年の問題なんかは、漢文をちゃんと勉強してきた人なら、10分未満で解ききれるのではないかと思います。うまく勉強してきた人は7〜8分で全問正解というのも夢ではないんじゃないかな。
勉強するべき量はそれほど多くないうえに、知識でカバーできる問題が多く、本試験の問題もそれほど難度設定が高くない、選択肢も曖昧なものではなくクッキリ・ハッキリした相違が設けられているものであるとなれば、漢文を押さえることは受験戦略的に必須だと思うんですよね。
最後の問6なんて、各文章の趣旨が捉えられていれば、もう前半を読むだけで正解が選べます。皆川淇園の主張を読むだけでOK。田中履堂の主張まで読む必要がないぐらいです。そういう意味で、素直な問題というか、省力化の可能な問題というか、受験生には是非正解してもらいたい問題です。
今回の問題では、都合三つの文章が示されています。論語の一節、皆川淇園の注解、田中履堂の読書論の三文章です。
どの文章も言いたいことはほぼ同じ。
「多読したって大した意味はない、本当に大切なのは精読だ」
これが今回の問題のテーマです。
話は共通テストから離れますが、このテーマ、当塾でいつも繰り返し繰り返し生徒さんにお伝えしていることなんです。年齢は関係ありません。幼い小学低学年でも、高校既卒生でも同じことをお伝えしています。
「文章の読解力を高めようと思ったら、しっかり深く読もうね、たくさん読むだけで読解力が身に付くと思ったらそれは大間違いだよ。多読だけで解決しようとするのは、努力しているように見えて、実のところ手抜き勉強だよ。」
私のような軽輩者が言っているだけではないんです。今年の共通テストに出された三方のような偉い先生方が昔から言っていることなんです。共通テスト出題者も、もっと言えば、大学人たちも、そうした姿勢を学生・受験生に求めていると思います。
もちろん、精読あっての多読はいいと思うんですよ。それは本当の努力家と評価できるでしょう。ただやっぱり基本は「精読・ちゃんとくわしく読む」ことです。
今回の出題文、田中履堂『学資談』から引用しておきましょう。私の方で書き下し文にして現代語訳を付けておきますね。
万巻に粗渉するは、一巻に精通するに如かず。
此れ、狭隘に似て、亦た実は博達なりと。
多くの書物に大ざっぱに目を通すことは、ただ一冊の書物をくわしく知ることに及ばない。一冊の書物をくわしく知ることは、せまい知識に思えるかもしれないが、その実、広い知識に通じることになるのだ。
これ、「書物」を「文章」に 置き換えてもらっても構いませんし、「入試過去問」に置き換えてもらっても構いません。全く同じように通じます。
大学受験生はもちろん、中学受験生・高校受験生も含めて、共通テストからのメッセージを受け取って欲しいなと思います。
春まであと少し。受験生はもうちょっと頑張って下さいね。応援しています。