街中で見たピスト

数日前、芸能人がブレーキの付いていない自転車に乗っていて摘発されたというニュースがありました。近頃は、自転車でも危険な運転をしていると取り締まられるようですね。

確かに、「ピスト」と呼ばれるブレーキの付いていない(または不完全なブレーキしか付いていない)自転車を街中でもよく見かけるようになりました。比較的高価だからでしょうか、おしゃれなオフィス街・繁華街で特によく見かけるように思います。

人に危害を加えないのであれば、それほど大きな問題はありませんが、自転車といえどスピードが乗れば十分に殺傷能力があるわけで、警察が取り締まるのも無理はありません(実際に死亡事故も発生しています)。

私が特に大きな問題だと思うのは、事故が発生した際の補償が期待できないという点です。自動車やバイクと違って、加入が強制される保険制度もありませんし、ましてや任意保険に入っている人は皆無に近いでしょうから。

大きな事故を起こした人は、下手をすると一生多額の賠償責任を負い続ける可能性がありますし、事故に巻き込まれた人は泣き寝入りになる可能性があるわけです。

私もスピードの出る乗り物は大好きで(昔からバイク派です)、自転車を飛ばす人の気持ちも分からないではないんですが、やっぱり安全運転の範囲内でのスピードにしておかないといけませんよね。


数日前、用事があって大阪本町(オフィス街です)に出かけました。バイクに乗った私は交差点に並ぶ車列の先頭で信号待ち。交差点全体がよく見渡せる場所です。

バックミラーに目をやると、車道を走るピストらしき自転車が後ろから近づいてきます。ものすごい速度です。あっという間に停車中の私の横をすり抜けたかと思うと、赤信号を無視して、交差点を左折してゆきました。

バイクの視点からはよく分かるんですが、ピスト運転手からは、完全なブラインドコーナー(出口の様子が見えない曲がり角)。ピストもものすごくバンク(車体を傾ける)させています。ブレーキも装備されていないわけですから、どんなにテクニックがあろうとも、何かあったら対処することはまず不可能でしょう。

加えて、彼の左折した道は逆向きの一方通行。向こうから自動車などが進んでくることが容易に想像される道路です。思いっ切り逆走じゃないか。

見ている方がヒヤッとする運転。遠くない将来、自動車にはね飛ばされるか、人をはねるかする可能性が非常に高いと思います。実際、こうした運転をしていた人が(その人はバイクでしたけれど)、自動車にはね飛ばされるのを目の前で見たことがあるんですよね……。

これが中学生ぐらいならまだ分かるんですが、驚くなかれ、ピストを運転していたのは、立派なサラリーマン風の男性。ちゃんとスーツを着た30代後半と思しき男性です。大丈夫かいな。