R.E.M. が2011.09.21付けで解散したというニュースを聞きました。青天の霹靂とはまさにこのことです。
R.E.M. は、現在のアメリカを代表するバンドといって間違いありません。といっても、ブルース・スプリングスティーンのように労働者階級の圧倒的な支持を受けるミュージシャンではありません。どちらかというと、20代から40代ぐらいの知的階層、アッパーミドルクラスに支持されるバンドではなかろうかと思います。
活動は31年に及ぶとのことですが、私が彼らを知ったのは中学3年生だったか、高校1年生だったか。いずれにせよ、デビューして間もない頃だったろうと思います。
その当時の R.E.M. は、コミュニケーションを拒絶するようなスタイルを取っており、何とも分かりにくいバンドでした。
モップのようなヘアスタイルをしたボーカリスト(マイケル・スタイプ)は、ゴニョゴニョとこもりまくった声で歌い、何を歌っているのやら全く分からない。歌詞カードを付けないのがバンドのポリシーでしたから、日本人の私には何を伝えたいのかがさらに分からない。ネイティブでも何を歌っているか聞き取れないそうなので、これは彼らの意図的な表現方法だったのでしょう。
時は流れ、今の R.E.M. は抜けの良いクリアなサウンドに、マイケル・スタイプの明瞭な発音の歌が乗っかるというサウンドに変わりました。(そしてマイケル・スタイプのヘアスタイルはほとんどスキンヘッドになった……。)
歌詞が公式に発表されるようになり、聞き取れるような歌唱に変わったわけですが、それで彼らの表現意図が明確になったわけではありません。正直、私の英語力では、何を意図しているのか分からない歌詞が非常に多い。ネイティブでも意図を掴みかねる歌詞が多いとのことですから、仕方がないと諦めていますが、知的な謎を投げかけてくれる、そして様々なイメージを喚起させる歌詞でもあります。
時間がないので、今日はこれぐらいにしておきますが、書きたいことは山ほどあるバンドです。解散が惜しいバンドですが、唐突な終止符はある意味、彼ららしいという気もします。
R.E.M. 直接のメッセージは、下記で読むことができます。
2曲ほどご紹介しておきましょう。
It’s The End Of The World As We Know It (and I Feel Fine…)
機関銃のように繰り出される言葉は皮肉に満ちています。しかし、その皮肉は陰湿ではなく陽性なんですよね。そして知的。
It’s the end of the world as we know it
And I feel fine
「ご存知の通り、世界の終わりだよ。
で、俺は最高の気分。」
The other night I dreamt of knives,
continental drift divide
Mountains sit in a line
Leonard Bernstein
Leonid Brezhnev
Lenny Bruce and Lester Bangs
ちょっとブレイクが入って、「レーナード・バーンスタイン!」と歌う所が、とても印象的なんですが、著名人の頭文字で韻が踏まれています。L.B. で揃えてあるわけですが、いずれの著名人も一筋縄ではいかない人達ばかりです。
R.E.M. – Uberlin [Official Lyrics]
最新アルバムからのシングル。現在の R.E.M. の歌詞は、こうして瞬間のイメージを積み重ねるように捕まえてゆけばいいのかな、なんて考えていたんですが……。