漢字を習得するには反復練習が必要。これは言うまでも無いことで、誰もが分かっていることなんですが、反復練習はとても面倒ですよね。指導者としては暗記方法をあれこれ考えてみたり、反復が苦にならないよう工夫したりしているわけなんですが、ここに画期的なドリルが開発されました。
もうご存知の方もいらっしゃるかもしれません。その名も『うんこ漢字ドリル』。
『日本一楽しい漢字ドリル うんこかん字ドリル 小学1〜6年生』
指導者からすると、漢字を覚える際に例文は必須だと言ってよいんですが、どうしても無味乾燥な例文になってしまいがちなんですよね。ウケを狙って変な例文を作ると、生徒は喜んでも保護者様に顔をしかめられそうだし……(笑)。
私からすると、そんなダーティーワーク(?)を代替してくれるドリル、小学生からすると、異常なほどはじけた例文で反復学習を容易にしてくれるドリル。それが全例文に「うんこ」という単語が含まれる『うんこ漢字ドリル』です。
個人的には、漢字は覚えたもの勝ちですから、手段は問わないと思うんですよね。一通りの学習漢字を学んだ後は、それらの漢字を使って読解や文章作成の力を上げるのもよし、漢字そのものをもっと深く学習する方向に進んでもよし。
不愉快な思いをされる大人もいらっしゃるかもしれませんが、やっぱり小学生は下ネタが大好きです(特に男子)。それで漢字の学力が上がるなら、全然OKなんじゃないか。
現物こそ手にはしていませんが、見本ページなどを見ると、小学生の漢字学習本として品質の高いものに仕上がっていると思います。そして何より特筆すべきは秀逸なるうんこ例文!
公式ツイッターから拾い上げた例文をいくつかご紹介しましょう。
(小学3年生「重」の例文)
とても貴重なうんこなので、ふれるときは手ぶくろをしてください。
→王侯貴族のものなのでしょうか。
(小学6年生「優」の例文)
優勝者に、うんこ型トロフィーがおくられた。
→いらねえ!
(小学3年生「板」の例文)
まな板の上にうんこを置かないでください。
→器物損壊罪になるんだよ。
(小学6年生「遺」の例文)
うんこの大きさは、父からの遺伝だと思う。
→というより肛門の大きさじゃないのかな?
(小学4年生「要」の例文)
話の要点がわからないので、うんこで例えてください。
→アイアイサー!
(小学6年生「寸」の例文)
大工さんが、うんこの寸法を測ってくれた。
→便器のサイズを決める資料でしょうか?
(小学2年生「道」の例文)
うんこまみれの男が道にたおれている。
→無視するに如かず。
(小学5年生「眼」の例文)
うんこをすべり止めに使うとは、すごい着眼点だ。
→あとは脱臭剤を混ぜれば製品化できるよ。
(小学2年生「矢」の例文)
うんこが目の前を矢のようにとんでいった。
→光糞矢の如し。
(小学6年生「裁」の例文)
ここは、うんこ事件を専門にあつかう裁判所だ。
→今や知的財産法関連事件に並ぶ花形事件ですからね。
(小学6年生「奏」の例文)
みんなでうんこを楽器代わりにして合奏しましょう。
→ぷ〜ぴ〜ぽ〜。
(小学6年生「視」の例文)
海外の専門家たちが、ぼくのうんこを視察に来た。
→これは私も経験がありますよ。誇らしかったなあ。
(小学5年生「技」の例文)
特技は、側転をしながらうんこをすることです。
→飛び散るよ。
と、突っ込みどころ満載で嬉しくなるドリルなんですが、製作者の真摯な思いを引用しておきたいと思います。
「おうちのかたへ」
「うんこ」という単語は、大人は忌避しがちかもしれません。しかし、子どもにとっては気持ちが盛り上がる言葉であり、口にするだけで楽しくなる魔法のような言葉なのです。
「学習」と「うんこ」という、一見縁遠い二つの要素は、ここに必然の出会いを果たしました。
「勉強するのは、つらいことじゃない。とっても楽しいことなんだ」そんなふうに、勉強への意識が変わり笑顔で机に向かう子どもたちが増えることを心から願っています。
いいですね。小学生を指導する立場からすると大いに共感が持てます。私も『うんこ漢字練習帳:漢検一級編』を書いてみようかな(笑)。