漢字・熟語の音読み・訓読み判別の問題に関するアドバイス − むりやり誤読してみる

漢字の音読み・訓読み判別の問題ってよく出題されるんですが、基本的な考えを小学生に伝えること自体はそれほど難しい話ではありません。

漢字は中国から来た文字なんだよ。だから元の読み方は中国語で、日本人には分かりにくかったんだよね。例えば「カイ」って言われても何のことかよく分からないよね。で、日本人が「海(カイ)」って、これ何を表す字なの?と渡来してきた外国人に聞いたんだね。

そうすると、「あー、それは塩辛い水がいっぱいある所のことだよ。広くて波があって、船も浮かべられる所のことだよ。」と片言の日本語で説明してくれる。なーんだ、「うみ」のことか。じゃあ「海」っていう字は「うみ」って読んでもいいな。とまあ、最初はこんな感じだったんだと思うよ。

そんな風に小学生には説明していまして、実際それでほとんどの子が基本は理解してくれます。ただ、基本が分かっても、実際の問題に適用するのはそれなりに難しいところがあり、決して正答率の高い問題群ではないんですよね……。

この類いの問題への対処法を、時々保護者様や生徒本人から相談されることがありますが、そんな時はこうアドバイスしています。

1.その漢字の読みを思い出せるだけすべて思い出す。
2.その音だけを聞いて日本語として分かりやすいか否かを判定する
→分かりにくかったら「音読み」、分かりやすかったら「訓読み」と考える。

ポイントは、1の「漢字の読みを思い出せるだけすべて思い出す」というところです。2については、先述の基本的な考えが理解できていればそれでOKなわけですから。

もちろん「肉(ニク)」のように、音読みがほぼ完全に日本語化している場合もありますが、そうした「例外規定」的な部分は別途教えればいいと考えています(それはそれで結構出題されやすい部分です)。


話を「漢字の読みを思い出せるだけすべて思い出す」の方に戻しますが、これは普段からの努力あるのみ。といって、やみくもに努力してもあまり意味はないでしょう。

私のオススメは、知っている漢字や熟語でも、あえて無理やりに別の読みをしてみるという方法です。例えば「豆腐」なら「まめくさり」と読んだり、「会社」なら「あうやしろ」と読んでみたり。「漢詩」なら「からうた」ですね。ちょっと本居宣長先生チックですが(笑)。

実際、息子が小さい時、町で知らない漢字を聞かれたら、大抵一度は違う読みを教えていました。例えばこんな感じ。たまたまスーパーで見かけた看板を拝借します。

「ねーねー、いちばんさいしょの字、なんてよむのん?」

「うん、あれは『いぼ』だね。」

「うそや〜、お魚のところに『いぼ』なんてかいてあるはずないやんか〜。」

「じゃあ全部読むね。上は『いぼをきょくめたおぞうりせいごうせ』下は『かみしななひとくちサイズなのにしょくべおうえあり』って書いてあるよ。」

「ぜったいうそや〜!『おつくり』とか『じょうひん』とかやんか〜!」

「え!そうなん?パパずっと『おぞうり』とか『かみしな』って読んでたわ〜!」

「いったいパパは何の仕事してんの!」

もちろん、後でちゃんと正解は教えていましたが、親が正解しか言わない存在だと思われても困るなと思っていまして……(笑)。

生徒さんにも保護者様にも、そこらじゅうで見かける漢字と、能動的に親しんでもらえればと願っております。「あえて無理やりに別の読みをしてみる遊び」いかがでしょうか。

ちなみに、「贅(ゼイ)」という文字に、「いぼ」という訓読みがあるのは本当です。「贅」には「むだなもの」という意味があり、そこから来ているわけですね。念のため。