孫 vs 曾孫(ひまご)

しかし時が経つのは早いですね。今年ももう12月。街はすっかりクリスマスムードですし、塾の方もクリスマス会準備の時期に突入しました。息子もクリスマス準備期間に入っているようで、買ってもらいたいプラレール車輌のプレゼンを何度も見せられています。一回見せてもらったら覚えてるってば……(笑)。


さて、私には、この12月で92歳になった母方の祖母がいます。

自分の子を持つとおぼろげながら分かるんですが、「孫」というものは、格別の可愛らしさを感じるもののようで、私も祖父祖母にはよく可愛がってもらいました。今は亡き父方の祖父祖母とは長い間一緒に暮らしていましたが、今考えても幸せな気分になるぐらい大切にしてもらった覚えがあります。もちろん、母方の祖父祖母も同様に、この上なく私を可愛がってくれました。

大人になってゆくというのは、色々な人との別れを経験していくということでもあります。今、世に在るのは母方の祖母だけ。寂しい気持ちが拭えないんですが、母方の祖母は齢九十二にしてまだまだ元気なので、孫としてとても有り難く感じています。

母方の祖母は、チャキチャキの江戸っ子でして、結婚後、京都に長らく住まいながらも、依然として言葉は江戸風です。祖母とはよく歌舞伎の話をします。

私「僕、○○って、すんごい大根役者やと思うねん。」

祖母「あんたも分かるのかい。○○は大根中の大根よ。あんなの見てらんないわよ。」

私「こないだ、○○の『菊娘』を見てんけど、もう『菊おっさん』やねん。踊りがドタドタしてて、全然『娘』とちゃうねん。ただの『菊を持ったオッサン』やねん。その点、勘三郎の『菊娘』はすごいよ、おばあちゃん。芸の力ではっきり『娘』が現れるし。」

祖母「あんたの見る眼は確かだわね~。」

私「いやいや、おばあちゃんの芸の力には負けるし~。」
(祖母は三味線などの芸事が達者なのです。)

センスがかなり似通っておりまして、ベタベタの大阪弁とチャキチャキの江戸弁でお互いに褒め合っております。アホらしい話ですが、孫と祖母ゆえに許されるのではないかと(笑)。


さてさて、こんな不肖の孫ではありますが、私が幼い頃から、祖母は「賢い子ね~、可愛い子ね~、偉い子ね~(以下無限ループ)」といつも褒めちぎってくれました。もちろん、祖父母から孫を見たときの「可愛く賢く見えるフィルター」が思いっきりかかっているだけなんですけれどね……。

ただ、最近、どうも事情が違ってきました。私に息子ができてからというもの、祖母は曾孫にあたる彼(現在小学1年生)に夢中です。私が祖母宅に出向いても「今日は○○ちゃんは来ないの?」「○○ちゃんは元気?」という調子。「賢い子ね~、可愛い子ね~、偉い子ね~(以下無限ループ)」という賛辞・寵愛は、私の息子が一身に受けることとなりました。

今までの私は、賛辞を聞く度に「もう恥ずかしいからやめてよ、おばあちゃん」という気持ちになっていたんですが、いざ言われなくなるとそれはそれで寂しい気も……(笑)。

やっぱり可愛さにおいては、子より孫、孫より曾孫、という序列があるんでしょうかね。ま、私も四十代になっていることですし、私の息子に、祖母から最も可愛がられる立場を潔く譲りたいと思います。ウウッ(落涙)。

孫、曾孫に敗れたり!