去る2017年12月10日(日曜日)、新名神高速道路(川西IC〜高槻IC)が開通しました。私、嬉しがりなので、当日開通1時間後にはバイクで走っていたんですが、今日はそのレポート。
以前、電車の開通日に、嬉しそうに鉄道オタクの人たちがわらわらと集まっているのを見たことがあります。その時は、暇な人たち、いや、酔狂な人たちだなと思って見ておりました。電車なんていつ乗ってもいっしょやん。
でも、鉄道を高速道路に置き換えてみると、すっごくその気持ちが分かる!失礼ながら同じアホ同士通じるものがあるんですよね(笑)。
車やバイクに乗る方ならよくご存じかと思いますが、中国自動車道の宝塚トンネル辺りって、毎日毎日渋滞してますよね。データを調べたわけではありませんが、1年のうち360日ぐらいは渋滞しているようなイメージがあります。
大阪から西の方に出かけて、帰りが夕方になってしまうと、まず間違いなくこの渋滞に巻き込まれてしまいます。下道におりても、阪神高速に回っても、結果は同じ。渋滞を回避したいという気持ちは誰しも一緒ですから。
車両通行量が多いのはもちろん(関西と中国地方を結ぶ大動脈だ)、アップダウン(サグ)が多かったり、トンネルが多かったり、合流が多かったり、渋滞を生み出すありとあらゆる要素が、これでもかとふんだんに盛り込まれた高速道路。当然のことながら、日本で最も渋滞する高速道路の一つです。
私も出かける時は、できるだけ夕方にこのルートを通らないように計画するんですが、そうもいかない場合もあります。ここの渋滞に巻き込まれると、だいたい小一時間は車内で無為な時間を過ごすことになってしまうんですよね。レジャーの家族やカップルはいいとして、仕事の人なんかは発狂ものでしょう。
夏のクソ暑い日に、バイクでこの渋滞に巻き込まれようものなら、熱中症になるおそれが十分にあります。路面から湧き上がる熱気、エンジンの熱気、他車からの排熱。といって、バイクで路肩を走行するのは本当は交通違反。しかもこのあたり、覆面パトカーだらけなんです。これ、苦行の道と呼んでもいいのではないか(笑)。
が、しかし、しかし。
この大動脈の渋滞による社会的損失を回避すべく、新しい高速道路がずいぶん前から計画・建設されてきました。新名神高速道路です。某政治家の横やりによって建設がしばらくストップした後で、政権交代時に(どさくさに紛れて?)建設が再開するなど、紆余曲折があったものの、ここ数年は建設がかなりのピッチで進められてきました。
官僚も、新高速道路建設の気運を高めるべく、あえて中国自動車道の渋滞を放置し続けてきたんだろうと思いますが、まあ、バイクで遠出するのが好きな私にとっては、珍しく利害が一致します(笑)。ちなみに、建設続行にゴーサインを出したのは、高校・大学の先輩にあたる某大臣さん。ありがたや〜。
地図を見ていただくとお分かりになるかと存じますが、今回開通する新名神高速道路(神戸JCT〜高槻JCT)を使えば、神戸ジャンクション以東のもっとも渋滞する部分を回避することができます。
最近の高速道路行政が重視している部分ですが、こうした都市部を回避するバイパス的ルートというのは、利用価値が高いと思います。都市部に無駄な渋滞を生まなくてすみますし、物流関係者もより短時間・低コストで物を運べるわけですから。
私、北摂の方をバイクで走る機会が多いので、急ピッチで工事が行われているのをずっと見続けてきました。橋がずいぶんできてきたな、ジャンクションが形になってきたな、という感じで、見るたびに本当に心から楽しみにしていたんですよね。建設中の写真も結構撮ったはず。
ただ、その急ピッチの工事が災いしたのか、工事によって多くの事故が発生し、犠牲者も出ました。とりわけショッキングだったのは、昨年の橋桁落下事故(新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故)。作業員2人がお亡くなりになって、8人が負傷したという痛ましい事故です。この事故が原因となって新名神高速道路(神戸〜高槻)の開通は、1年遅れることになりました。
あと、箕面とどろみのあたりでも、今年に入って若い作業員さんがお亡くなりになっています。私、事故前日にそのあたりを早朝走っておりまして、作業員さんたちが現場の朝礼をしているところをたまたま見かけていたんですよね。心の中で「ご苦労様です、新名神の開通を心待ちにしてます」と思った覚えがあるんですが、翌日のニュースで、まさにその場所が映っており、作業員が落下事故により亡くなったとの報を聞きました。昨日見かけたうちのどなたかだろうなと思うと、切ないものがあります。
前ふりが長すぎますね。そろそろ走行してみた感想をば。
開通初日の朝一番で走ってやろうと、前々日にわくわくしながら調べてみると、がーん!午後3時開通との由(NEXCOに電話もして確かめた)。
この時期、日曜日も授業準備などの仕事に追われまくっているので、朝一以外に出かけるのは難しいんだけどな〜、ってNEXCOには何の責任もないんですけどね。
午前は偉いさんや地元住民によるセレモニーや通行式があるとのことで、まあ仕方がありません。確かに、今回の新名神高速道路の開通、中国九州圏と関西東海圏の物流に大きなインパクトを与えるものですしね。正確なデータは持ち合わせていないので、憶測で書きますが、中国自動車道というボトルネックを回避できることによる経済的効果は、莫大なものになると思います。
実際、この道路の開通を見越して、北摂には巨大な物流センターがいくつか出来ています。現段階ではまだがらんとした感じなんですが、神戸ジャンクションと高槻ジャンクションが完全に結ばれれば(来年の早い時期に開通が予定されています)、フルに機能を発揮することと思います。
さてさて、やっぱり開通当日に走ってみたいので、何とか時間をやりくりして、開通日の午後3時半頃に出発しました。吹田ICから名神高速道路に乗って、高槻JCTを目指します。ワクワク。
そこかしこの表示板にも「新名神高速道路」の文字が出てきていて、期待感が高まります。少し走って高槻ジャンクションに到着。今まで横目で眺めていた新名神高速道路への道が開かれています!ヤッホー!
このまっさら感というか、ピカピカ感というか、最新の高速道路って本当に最高なんですよね。路面状況も最高でタイヤが吸い付く感じ。中国自動車道だと、兵庫の西の方・岡山・広島あたりなんかは路面が荒れ荒れなんですが、もう雲泥の差。荒れ荒れで急なカーブのある道も、それはそれで楽しいんですけどね(笑)。
で、高槻JCTから新名神高速道路にアクセスする道なんですが、かなりの半径の小さいカーブ(曲率の高いカーブ)になっています。バイク乗りの私にはすごく楽しい道なんですが、近い将来、何らかの事故が起こることはほぼ間違いない気もします。やや道路線型に問題があるような。今後、この新名神高速道路は、高槻JCTよりさらに東に延伸されるので、その際までの一時的な道路線型であるような気もしますが……。
まっさらな高速道路は最高です。高速下の道や場所は、勝手知ったるところですが、こうして上を通行すると全く見知らぬ場所を走っている気分になります。ほうほう、下から見上げていた橋はこんな感じなのか、なるほど、ここにトンネルがあるんだな。
トンネルが多いのも印象的ですね。長いトンネルで6kmぐらい、短いトンネルで1kmぐらいでしょうか。トンネル内の鏡のような路面(比喩ではなく本当にピカピカと光を反射しています)は、気がつくとスピードが上がりがちですが、自制自制。
高架道の方は、山あいを走る道路であることに加えて、側壁が低いため、とても爽快感がある道になっています。ただ、バイクの場合、風が強い日はかなり恐怖を感じる道なんじゃないでしょうか。
誰かが、「強風の日に明石海峡大橋をバイクで渡るのは、肝試し以外の何ものでもない、少なくともバンジージャンプよりは怖かった」という話をしていましたが、本当にその通り。この道もちょっとそういう気味はありますね。
(以前、東北自動車道で暴風に見舞われた話を書いたことがあります。)
そうそう、茨木千提寺パーキングエリアにも入ってみましたが、広々としていい感じでした。サービスエリアと違って、レストランや物販はありませんが、今後大型トラックの運転手が仮眠をとるPAになっていくのかもしれません。
この日だけなんでしょうか、「見山の里」の方々が来ていて、特産品を販売なさっていました。そういえば、この千提寺PAから見山の里はそんなに離れていません。ジェラートを置くと名物になると思うんだけどなあ。
(「見山の里」の話も書いたことがありました。)
川西ICで一旦外に出たあと、再び逆側の新名神高速道路をたどって高槻JCT→豊中IC→阪神高速で帰宅。仕事も山積みなので、帰りはちょっとだけ飛ばし気味(ちょっとだけね)。2時間半のプチツーリングでした。
新しい高速道路が開通するのは、私にとって大のイベント。最近だと、新東名高速道路と京都縦貫道が嬉しかったなあ。次の機会は来年春。新名神高速道路の川西ICと神戸JCTが繋がる日を楽しみに待ちたいと思います。