朝夕は少し肌寒い日などもあったりして、かなり秋めいてきた9月後半。毎日が飛ぶように過ぎていくので、気がつけば真冬になっていそうですが、この美しい季節を少しでも楽しみたいですね。
ということで、今日は9月にまつわる曲について少々。
Earth, Wind & Fire – September (Official HD Video)
メガヒット曲なのでご存知の方も多いかもしれません。YouTubeでの再生回数5.3億回。1978年の曲ですから、私が9歳の頃の曲ですね。多分リアルタイムで聞いていたのではないかと思うんですが、そのころの記憶はもう霧の彼方です、年齢的に(笑)。
後にファンク・ミュージックの深い深い沼地に分け入ってゆくと、Earth, Wind & Fire の音楽がやや薄味に思えて、距離を置く時期もありましたが、この年齢になって聴いてみると、やっぱりすごいバンドだなと思います。
濃厚な味付けのファンクではなく、分かりやすくキャッチーな曲としてファンクを提示しポピュラリティを得る。でも肝になる部分はしっかり押さえる。って、なにか優れた大学受験参考書のレビューみたいですね。もう逝去されましたが、リーダーのモーリス・ホワイトが人格者だったのも、人気の一因だったかもしれません。
この曲、”Do you remember, 21st night of September?” というフレーズから始まるんですが ‐ だからこそ本日(2021.09.21)記事を書いています ‐ サビの部分が、なんというか本当に「9月」なんですよね。スコーンと抜けるような青い空を思わせる。まさに “never was a cloudy day”。
Sarah Vaughan / September Song
次は、クルト・ワイル作曲、その名も “September Song” 。
私が最初にこの曲を知ったのは、多分高校生の頃。色々な人が歌っていますが、大人になってみると、安心して聴けるサラ・ヴォーンがいいなあ。
サラ・ヴォーンって、デビュー当初、あまりに歌が巧すぎて逆に人々に理解されなかったという話があります。少し下手に歌うようにしてようやく世間から理解されたという。味わい深い寓話的なエピソードだと思います。
Prefab Sprout – When Love Breaks Down
もう一曲だけ。Prefab Sprout は私の最愛のバンドの一つ。パディ・マカルーンは、天才中の天才。この人が目下隠遁生活を送っていることは、世界遺産の喪失に等しいと私は思っていますが、それが彼の意志なら仕方がありません。私は彼の創作活動再開をいつまでもいつまでも待つつもりでいます。
Prefab Sprout の話をしたら、多分ブログ記事数十回の連載になるので自粛しておきますが(笑)、上記の曲なんて高校生の頃から今に至るまでもう何回聴いたかわかりません。evergreen (常緑) という単語がありますが、この言葉は彼らのためにあります。美しい緑や青の音楽。
秋に雨が降ると、必ず私は次のヴァースを心のなかで反復します。私の中で九月の雨は、パディの書いたメロディと、このヴァースとに強く結び付けられていて、おそらく死ぬまで切り離されることはないでしょう。
Oh my, oh my, have you seen the weather
The sweet September rain
Rain on me like no other
Until I drown, until I drown
拙訳。
君よ、あの雨をや見たる
甘き長月の雨を
言葉に尽くしがたき雨
しとど我が身に降りぬ
そんな思いで眺めると、九月の雨は決して悪いものではないですね。