ジョン・コルトレーン『A Love Supreme』と塾

入試繁忙期が終わってホッとしたのもつかの間、新授業が始まって(例年2月初日が新授業の開始時期となっています)、バタバタと忙しい毎日を送っています。今年も新規塾生・継続塾生の学力を向上させるべく、頑張っていこうと思います。

先程、徒然草関連の資料を作り終えて、ようやく寝床に入れそうなんですが、午前4時前。明日は朝8時から用事があるのに、こういう日に限ってついついブログを書いてしまいます(笑)。


先日、藤岡靖洋氏の『コルトレーン―ジャズの殉教者』を読み終えたんですが、 とても楽しめました。

コルトレーン――ジャズの殉教者 (岩波新書)
藤岡靖洋

コルトレーン――ジャズの殉教者 (岩波新書)

ジョン・コルトレーン(John Coltrane)は、モダンジャズの中でも至高のスーパースター。私も昔からあれこれと聴いてきましたし、アルバムもそれなりに持っています。ただ、体系的に聴いたり、背景を調べて聴くというようなことをしては来ませんでした。だから、頭の中はグチャグチャ。よく聴いているアルバムなのに、発表順序もあやふやです。

今回、上記の書で、コルトレーンという音楽家の一つの道筋がスッと頭に入ってきました。そして『A Love Supreme (邦題:至上の愛)』がいかに特別な作品であるかも理解できました。筆者の高い力量に感謝です。

『A Love Supreme』は、コルトレーンの最高傑作とされる作品。私も何回聴いてきたか分かりません。多分、頭の中でほとんどアルバム一枚分を再生出来るんじゃないかというぐらいに。アルバム・ジャケットは難しい顔をしたコルトレーンのアップなんですが、それがまたいい。

A LOVE SUPREME
John Coltrane

A LOVE SUPREME [Verve]

作品の背景の詳しい説明は避けますが、私がいつも思うのは、このアルバムの売れ方についてです。実はこのアルバム、今まで世に出たジャズアルバムの中で累計販売枚数が2位らしい(1位はマイルス・デイヴィスの『Kind of Blue』)。

1964年の発売当初、大々的なプロモーションをしたわけでもないので、爆発的な売れ方をしたわけではなさそうです。しかし、その代わりに、今日に至るまで間断なく地道に売れ続けているらしい。私が素晴らしいと思うのはそこです。

もう何年も前の話になりますが、私が当塾を始めた際、お手本にしたいと思ったのは、どこかの塾ではありません。目指すべきは『A Love Supreme』のような塾だと思っていました。

一時だけ爆発的に売れるのではなくて、常にどこかの誰かが贔屓して下さって、コツコツと細く長く続いてゆくような塾。レベルが高く、分かる人にはきっちりと評価して頂けるような塾。気がつけばずいぶん長い間やってきて、生徒さんが色々な世界で活躍しているような塾。

いや、私がコルトレーンの様な天賦の才能を持っているわけではありません。でも、少しでも『A Love Supreme』に近づければいいなと今でも思っています。

時流に乗って一時売れまくるも、三年後には中古レコード店で100円で山積み、それでも誰も買っていかない……。よくある風景ですが、そんな塾にはしたくないなと(笑)。

当初は「ラブ・スプリーム塾」というネーミングにしようと考えていた、というのは真っ赤な嘘ですが、いつか「至高愛塾」に改名するかも……いや、なにか政治とか宗教とかの団体に思われそうなので、やめておきましょう。

A Love Supreme, Pt. 1- Acknowledgement