時々勘違いしている方がいらっしゃるんですが、バイクという乗り物、曲がるときに運転手がハンドルを切ることはまずありません。コーナーで車体を傾けると、勝手にハンドルは切れ始め、勝手にバイクが曲がって行きます(これをセルフステアと呼ぶ)。したがって、余程の低速時を除いて、ハンドルには手を軽く添えるだけ。ハンドルに力を入れると逆に危険なわけです。逆に言えば、曲がるためには車体を傾けなくてはならない。そこが四輪車と違っていて楽しいわけです。
「コーナーで二輪車が車体を傾けること=危険運転」と考えている人がいて、驚いた事があるんですが、物理法則を無視する方がよほど危険です(笑)。時々、原付に乗っているおばちゃんなんかが、無理矢理にハンドルを曲げている風景を見ることがありますが、とても恐ろしい。
さて、コーナーリング時に車体を内側に寝かせることを「バンクする」と言いますが、高速になればなるほど、コーナーの半径が小さければ小さいほど、車体を寝かせる度合いが大きくなります。つまり「バンク角」が大きい。
MotoGPは、世界最高のバイク・世界最高のバイクエリートのみが参戦を許される世界最高峰のバイクレースですが、彼らのバンク角って、何度ぐらいかご存知でしょうか。私も、最近下記の映像を見て正確な角度を知りました。正解は64度。「64 degrees from vertical」なんて簡単に言ってますが、驚異的な数字。静止したバイクで見れば一目瞭然です。
MotoGP Lean Angle Experience
この「64」という数字で思い出したのは、ビートルズの「When I’m Sixty-Four」という曲。私がこの曲の入ったアルバムを購入したのは、おそらく高校1年生の頃。「僕が64歳になっても君は僕と一緒にいてくれるかな?」といった歌詞なんですが、16歳の私にとって、64歳というのは想像も出来ないぐらい遠い未来に思えたことを覚えています。
The Beatles – When I’m Sixty-Four
Will you still need me, will you still feed me, when I’m sixty-four?
まだ僕を必要としてくれるかな?
まだご飯を作ってくれるかな?
僕が64歳になっても。
先々月、私は44歳になったんですが、今日は妻の誕生日。妻も同じ44歳になりました。64歳まであと20年。高校生の頃と違って、この「When I’m Sixty-Four」という曲が、それなりに現実味を帯びてきました(笑)。20年後も二人とも元気で活動出来ていればこれに勝る喜びはありません。目指せ、共白髪、偕老同穴。
そうそう、64という数字は数学的にも「きれいな」数字ですね。2の6乗、4の3乗、8の2乗。昭和も64年までですし、何となく落ち着きのいい数字です。