国語力・読解力(どっかいりょく)を上げるにはどうすればよいのか

(小学2〜4年生あたりの読者を想定した記事になっています。必要に応じて、保護者様の方でご説明を加えていただければ幸いです。)

そろそろ夏休みですね。いなかに行く、プールに泳ぎに行く、かき氷を食べる、とても楽しいきせつです。そうそう、旅行に行く人もいるかもしれませんね。学校からはなれて色々なことにチャレンジするのはとても良いことだと思います。

さて、この文章を読んでくれているあなたは、小学何年生でしょうか。二年生?三年生?四年生?自分でこの文章をさがし出した?お母さんかお父さんからこの文章を読みなさいと言われた?

いずれにせよ、この文章を読んでくれているあなたは、「国語力」を上げたい、または、「国語力」を上げなくてはならない、と思っている人でしょう。

そんな人たちに向けて、少し手だすけになることを書こうと思います。


私は、国語をせんもんてきに教えるしごとをしています。この文章を読んでくれているあなたより、少し上のお兄さんお姉さんが生徒です。大人に近い生徒もいます。

あなたからそうしたお兄さんお姉さんを見ると、とてもむずかしい文章を読みこなしているように思えるかもしれません。でも、その人たちも、はじめからむずかしい文章を読めたわけではありません。

みな、かんたんな文章から始めて、だんだんとむずかしい文章へとうつっていったのです。

さて、今、あなたが勉強のときに読んでいるのはどんな文章でしょうか?かんたんな文章?むずかしい文章?

どちらであるかを、ちょっと自分で考えてみてください。答えはきまりましたか?

まず、かんたんな文章だと答えた人。

ためしに、文章にどんなことが書いてあったかを、家の人にわかりやすく話してみてください。家の人が「うん、よくわかったよ」と言ってくれるならば、あなたの「りかいする力」と「つたえる力」は、その文章をこえています。その文章をしっかり読むだけの「国語力」があるといえます。

わかりやすく話せない?家の人が「何の話をしているのかわからない」と言う?そんな時は、まだあなたの力は、その文章をこえていません。

家の人にどんなところがよくわからないのかを聞いてから、もう一度、よく文章を読んでみましょう。そしてわかりやすく話そうと考えて、ふたたびチャレンジして下さい。だんだん、よくなってくるはず。家の人が「こんどはよくわかったよ」と言うまでがんばってみましょう。そう言ってもらえれば、あなたの「国語力」はその文章をこえているはず。

なれてきたら、だんだんとむずかしい文章も読むようにしていきましょう。

次に、むずかしい文章だと答えた人。

文章をむずかしいと思うのには、いくつかの理由があります。

ひとつめは、使われている言葉がむずかしくてよくわからないということ。

ふたつめは、言葉じたいはだいたいわかるけれど、文章ぜんたいで見ると何を言っているのかがよくわからないこと。

それぞれについて、せつめいします。

使われている言葉がむずかしい時

この時は、むずかしい言葉の意味をしらべましょう。国語じてんをひくのもいいですし、家の人に聞いてみるのもいいでしょう。だいじなのは、何度も何度もしらべることです。

ぜんぜん知らない言葉はあたり前ですが、ちょっとどうだったかな、はっきりせつめいできないな、と思うような言葉もどんどんしらべましょう。子ども用のでんしじしょが使えるという人は、それを使うのもいいでしょう。とにかくしらべまくること。

知らない言葉が多すぎてめんどうくさい?その気持ちは私もよくわかります。そんな時は、まわりの文章からだいたいの意味を考えてみて読みすすめるのもいいでしょう。それでうまく読めるときは、だいたい意味もあっていることが多いものです。ただ、さいごは、家の人か国語じてんかで、かくにんをしておきましょう。

文章が何を言っているのかがよくわからない時

使われている言葉はよくわかる、でも、言っていることがよくわからない、そんな文章もあるでしょう。それが本当にむずかしい文章です。

では、どうすればそんな文章を読めるようになるのでしょうか?

はっきり言うと、今すぐ読めるようになるような、うまいやり方はありません。ゆっくり・しっかり、トレーニングするしかありません。といっても、とくべつなトレーニングではありません。

トレーニングの方法はつぎのとおりです。

どんな文章にも、かならず「言いたいこと・伝えたいこと」があります。それが何なのかをいっしょうけんめい考えながら読む。

それだけです。

かんたんだと思ったかもしれません。でも、これがほんとうにたいへんなことなのです。それにへこたれずにじっくり文章に取りくめるかどうか。それが国語力のある人とない人のちがいです。

じっくり考えて、「そうか!この人はこんなことが言いたいんだな!」と思うことができれば、その文章についてはごうかく。(家の人に本当に合っているかたしかめてもらってくださいね。)

ぎゃくに、いくら考えても「言いたいこと・伝えたいこと」がわからない文章があるかもしれません。そんなときは、その文章のことは一回ほうっておいて、別の本や文章を読んでいきましょう。

そして、何か月かたってから、もう一度、むずかしくてよくわからなかった文章を読んでみましょう。すると、ふしぎなことに、文章のいみがよくわかることがあります。それは、べつの文章を読んでいるうちに、頭の中がせいりされたり、強くなったりしているからです。または、自分でも知らないうちに、心のおくそこで「わからないこと」を考えつづけているからです。

その時もわからないばあいは、もう一度その文章をほうっておくとよいでしょう。そして、また何か月か後に読んでみてください。いつか、「なるほど、そういうことを言いたかったのか」とわかるときが来ます。

文章を読む力を「読解力(どっかいりょく)」といいますが、この力の高い人は、みなこうしたことを何度も何度もくりかえしてきたのです。

たしかに、くりかえすのはたいへんなことです。

でも、そうして文章が読めるようになったら、楽しいと思いませんか?色々な国の話、色々なじだいの話、色々な人の話、世界にはたのしくおもしろい話が、むげんにあります。そんな話を読んでみたいと思いませんか?


どうすれば文章を書けるようになるかは、この記事では書ききれませんでした。でも、低学年のあいだは、「書くこと」より「読むこと」の方がずっとたいせつです。安心してください。しっかり文章を読める人は、かならずしっかり文章を書けるようになりますから。

夏休みのあいだに、あなたの国語力・読解力(どっかいりょく)が強くなることをねがっています。