中学入試の熟語問題でこういうタイプのものがあります。
( )の中に不・非・無・未のいずれかを入れよ。
( )常識 → (非)常識
( )愉快 → (不)愉快
( )意味 → (無)意味
( )成年 → (未)成年
正直に言えば、それほど難しい問題ではありません。ボキャブラリーを確実に増やしていれば、ほとんどの問題に正解できるでしょう。
また初見の熟語であったとしても、それぞれの漢字の意味(否定・打消のタイプ)を理解していれば、その場で考えてある程度正解を導きうる形式の問題とも言えます。
といっても、そこは小学生。ちょっとズレた解答を見ることが間々あります。
ここ数年は、「( )景気」を間違う小学生がかなり多いんですよね。「(無)景気」とか「(非)景気」といった答えを結構見受けるんです。確かに「景気が無い」「景気に非ず」と読んで意味が通じないわけではないので、理屈の上では成り立たなくもない話です。もちろん本当の正解は「(不)景気」ですけれど。
データを取っている訳ではないので、あくまでも個人的な感覚に基づく話ですが、この「(不)景気」という問題、10年前なんかは、ほぼ100パーセントの正解率だったんじゃないかと思います。
この件、現在の日本経済が「不景気」ではないことを表している気がしてなりません。理屈はこんな感じ。
小学生は家庭での会話やニュース放送から、時事用語や堅い言葉を知ることが多い
↓
以前は大人の会話や報道に頻繁に現れていた「不景気」という言葉が消えた
↓ よって
小学生に「不景気」という語がインプットされず、当該問題の正答率が低下した
「(不)況」という熟語の正答率も同様に低いので、私の推論はあながち間違っていないのではないかと愚考する次第。
そんなわけで、「日経平均株価の変動と小学生の「不景気・不況」という熟語問題の正答率はシンクロしている」という経済学的定理が証明されました(あ、本気にしないで下さいね)。
ただ、「世の中の移ろいが、生徒の答案・返答に現れることもある」「生徒の答案・返答が世の変動を感じさせてくれることがある」という話なら、これは「真」と言えるでしょう。
当塾も投機を始めた方がいいかなあ。まあ、私も副代表も投機嫌いなので、そんなことは未来永劫なさそうですけれども……(笑)。