記述解答に含めるべきでない部分

今日は入試国語の解答作成における注意点をば。中学受験生を指導していて時々見かけるケースです。

例えば、「太郎が怒っているのはなぜですか?20字程度で答えなさい。」という問題があったとしましょう。

生徒の答案を見ていて、時々あるのがこういう解答。

「太郎が怒っているのは、物をぬすまれたから。」(21字)

「物をぬすまれたから、太郎は怒っている。」(19字)

大人ならお分かりになるかと思いますが、「太郎が怒っている」という部分は不要です。問題文ですでに提示されている部分は、解答に含めるべきではありません。

解答が冗長になりますし、採点者に「文章がよく分かっていないな、字数を水増ししたな」と捉えられかねません。そして何より、本来解答に含めるべき部分(採点のポイントとなる部分)が欠落してしまいます。

解答はこう書くべきです。

「父親の形見である時計をぬすまれたから。」(19字)

「父親の形見である大切な時計をぬすまれたから。」(22字)

もちろん、物を盗まれれば誰でも怒るわけです。しかし、その物が「父親の形見」で二度と入手できない大切な物であれば、その怒りはさらに激しいものになるはずですよね。とすれば、そここそが「怒りの理由」として解答に示さねばならない部分です。

もし指定字数にもう少し余裕があっても、「心から尊敬していた父親の形見である時計をぬすまれたから。」(28文字) というように、怒りの理由をさらに深く彫り込むべきであって、問題文ですでに提示されている部分は、やはり解答に含めるべきでありません。

一番最初に示した解答でも、文章が読めていないわけではないんですが、入試での得点にはつながりません。今まで多くの生徒さんを見てきましたが、「文章が読めている・把握できている」ということと、「合格点のつく記述解答が作成できる」ということには大きな隔たりがあります。

体験授業の時などは、あんまり否定的なことを言って生徒さんのやる気を失わせてもいけないので、「うん、よく文章を読めているよ」と伝えるにとどめることも多いんですが、入塾された場合には、ビシビシ解答を鍛えさせていただいております。

ま、当塾の場合、「ビシビシ」といってもかなり柔らかい感じで運営しておりますので、「うん、よく文章は読めているよ。でも、この解答はもうちょっとこうした方がええよ〜。がんばってもう一回書き直してみようか〜。」ぐらいなものですけれど(笑)。

ちょっとした文字数の記述問題でも、指導者からすると、色々と教えるべき部分・学んでもらいたい部分があるものなんですよね。


なお、理由問題については、これはこれで色々と教えるべき部分があります。「理由問題」と一言で言っても、かなりの種類があって、一枚岩ではないからです。

国語では、必ずしも「理由の説明」=「原因の明示」ではないんですが、受験生はあまり気付いていない部分です。というか、講師でも指導経験が乏しいと、あまりよく分かっていないかも……。この辺りはまたいずれ。