国語豆知識 「螺子・鋲螺・発条・紐釦」

街を歩いていると、時々難読漢字に出会います。地名などの固有名詞がその最たる例ですね。大阪府でいえば、「枚方(ひらかた)」とか「放出(はなてん)」なんて地名は難読の域に達しているかと。どこの土地にもそうした地名はありますが、こうした語は「漢字の勉強」からはやや離れたものかなと思います。あまり一般性がありませんからね。

私が気になるのは、看板・社名に使われている古めかしい熟語です。私は漢検1級ホルダーですから(エヘン)もちろん読めますけれど、一般的な人からすると、読めない・意味が分からないということになって、結果、企業として不利なのではないかと気になってしまうんですよね。

例えばこんな熟語です。答えは少し離して書きますので、漢字常識テストと思って読んでみてくださいね。いずれも実際に私が大阪の町で見かけた社名・看板に含まれていた熟語です。

「螺子」

 

 

 

 

 

正解「ねじ
「ねじ」はそれ以外に、「捻子」「捩子」「螺旋」と書くこともあります。「タニシ」じゃないのかって?惜しい。それは「田螺」です(笑)。

「鋲螺」

 

 

 

 

 

正解「びょうら
これも意味としては「ねじ」とほぼ同じですが、音読みになります。かなり古くからやってらっしゃる会社なのかなと思います。

「発条」(「はつじょう」以外の読み方で)

 

 

 

 

 

正解「ばね
「はつじょう」と読んでも間違いではありません。いずれで読んでも意味は同じです。旧字体で「撥条」と書かれているとさらに古風度アップですね。ちなみに「弾機」も「ばね」と読みます。

「紐釦」

 

 

 

 

 

正解「ちゅうこう
衣服のボタンのことです。「紐」を訓読みすれば「ひも」または「ボタン」、「釦」を訓読みすれば「ボタン」。これまたかなり古風なイメージの熟語ですね。「釦紐」と書かれることもあります。もちろん意味は同じ。読みは「こうちゅう」です。


街で難語を見ると嬉しくなる私のような人間には、いずれも楽しい社名ですが、お客様に間違われたりしないんだろうかと心配してしまいます。「螺子」→タニシを売ってるのかな? 「発条」→発動機のことかな?自動車整備工場かな?なんて感じで(笑)。

個人的には社名・企業名は分かりやすいのが一番だと思っていますが、難語で会社の格調が高く見えるのも悪くないのかもしれません。