完全少人数制宮田塾では、英語指導にも力を入れております。といっても、いわゆる英会話スクールとは違う方針で指導するようにしています。
英会話教室に長年通っているということで、英語に自信を持っている子もいますが、我々から見ると、(少々厳しいですが)かなり頼りない。
何年も英会話に通っていた子に、「『駅までの道を教えて下さい』って言える?」と尋ねても、答えられる子はまずいません。もちろん、書くことなんて論外です。相手は小学生ですから、流暢(りゅうちょう)に、
Would you tell me the way to the station?
なんて答が返ってくる事は期待していません(帰国子女は別)。でも、4・5年英会話に通っているなら、せめて
Way! Station! Teach!
というような、間違ってはいても、ある程度の意図を英語話者に解してもらえるような片言が出てもいいんじゃないかと思います。が、そのレベルの片言が出る子すら皆無に等しい。
文章が難しすぎる?いや、そんなことはないと思います。「~して下さい」とか「~したい」という表現は、海外に行って最も使う基本的な表現だと思うんですよね。
もっとレベルを下げて、「『ぼくは日本から来ました』って言える?」と尋ねても同じ。「I am Japan! 」みたいな間違いでも構いませんから、何か言えないと英会話教室に通う意味がないのでは……。片言でもそれなりに善意解釈してもらえるはずですしね。「こんにちは」「さようなら」といった定型的なあいさつ以外の事柄を表現できる子を、ほとんど見たことがないというのが実情です。
そういう意味で、英会話教室に通う意味が私にはよく分からないんですが、強いて言えば、外国人に臆することがなくなる、ということなんでしょうか。でも、現今の小学校では、外国人の先生が英語指導をして下さっていますので、それも大した根拠にはならない気がします。
母語(日本語)と外国語(ここでは英語)の習得は、言語学的にも全くその方法が違いますが、「聴くだけでペラペラに!」「子供の頃から英会話に通えばネイティブ並に!」なんて口上に吸い寄せられてしまう人が跡を絶たない(笑)。本当に子供の頃からベラベラに英会話が出来る、という状態を目指すならば、一日に10時間以上は英語環境に置いてやらないとダメだろうと思います。
大体、言語学的には、完全なバイリンガルは存在しえないと言われています。つまり二カ国語を操れても、どうしてもベースになる言語に偏ってしまう、つまり、ベース言語を元に思考したり文章を書くようになってしまうという訳です。
とすれば、仮に小学生の時期に、英語の能力がネイティブ並になったとしたら、それは日本語能力の危機をも意味しているということになります。私の知る帰国子女(およびその保護者さん)も、みな一様に同じことをおっしゃいます。
話は少しそれましたが、週に数時間英会話に通ったからと言って、英語がしゃべれるようにはならない、ということです(加えて、中学校以降での英語の成績にも、残念ながらほとんど関係がない)。
さてさて、完全少人数制宮田塾の英語の取り組みでした(前振り長すぎ)。例として小学4年生段階の話をしますと、文字(アルファベット)と音のつながりを重視しています。具体的にはローマ字をかなりしつこくやってもらったあと、簡単なフォニックス(英語の綴りと発音の関連性)を学習してもらっています。
外国語を学ぶスタート地点は、やはり、言語の根本たる「文字」と「発音」に置かれるべきだと思います。文字が音に見えてくる、音が文字に見えてくる、それがとても大切。読みの分からない漢字って覚えにくいですよね?発音の分からない単語って覚えにくいですよね?
遠回りなように見えて、「文字」と「発音」の関係を押さえていくのが、結局は一番の近道です。そういう考えから、フォニックス指導の前段階として、ローマ字指導をしています。
「『chikara』って、何て読んだらいい?」
「わかった!『しおから』!」
「『し』は『shi』やで。勝手に『お』を入れたらあかんで~。」
アルファベットに慣れるまではこういうこともあります(笑)。しかし、「chikara」という表記が「ちから」という風に読める・見えるようになれば、英単語の発音もぼんやりと見えてくるはず。
ほとんどの小学生は、テキストを元に順を追って反復練習していけば、アルファベットと音の基本的な関連性を習得できるように思います。