国語記述問題の得点力を上げるにはどうすればいいのか。よく聞かれる質問です。もちろん、一言でまとめられるはずもありませんが、あえて一点大きなポイントを上げるとすれば、
自分で考えて実際に答案を書くこと です。
確かに、自分で答案の中身を考えて書くのは苦しい作業だと思います。何となく分かっていても、いざ文章にするとなれば、なかなか筆が進まない。解答欄にぴったり収まるような解答が書けない。解答を考えるのに著しく時間がかかってしまう。何となく分かりにくい文章になってしまう。
それに比べて、授業を聞くのは簡単なことです。黙って聞いていれば、講師が文章を説明してくれ、模範解答も示してくれます。何となく分かった気にもなるでしょう。
しかし、それで合格点の取れる答案が書けるようになることは、まずありません。「授業だけ聞いていれば、得点力が上がります」なんていう所があれば、それは詐欺だと思ってもらっていいでしょう。
泳げない人が水泳を習うとき、人の泳ぎを見ているだけで泳げるようになりますか?無理ですよね。やはり、自分で水に入って泳いでみないと始まりません。
吉本新喜劇のギャグで、(指をボキボキ鳴らしながら)「俺は空手の有段者や!通信教育で習うたんや!」というのがありましたが、このギャグが成立するのも、やはり実地訓練を欠くことの空虚さを、皆が知っているからでしょう。
なのに、なぜか国語の記述問題については、授業を聞いていればなんとかなると思ってしまう人が多い。私にとっては非常に不思議なことです。国語の苦手な人が、実際に解答・答案を書くトレーニングをしないで、得点力が上がるということは、まずありません。賭けてもかまいません(いや、賭けなくてもいいか)。
といって、やみくもに答案を書きまくれば得点力が上がるというものでもありません。書いてみた解答・答案に目を通してもらい、適切なアドバイスをしてもらうことが絶対的に必要です。つまり、書きっぱなしでは、これまた何の意味もない。
国語記述問題の得点が上がらないという人は、通っている塾なり学校なりの先生に、解答を一つ一つしっかり見てもらってアドバイスをもらうようにして下さい。根気のある人ならば、通信添削を受けるというのも良いでしょう。
なお、多人数の授業で、一人一人の解答は見てもらえないという場合、国語記述問題の得点力はまず上がらないと思います。構造的・根本的な問題ですので、何か他の対策を考えて下さい。
当塾では、受験生の国語を指導する際、生徒に必ず解答を書いてもらっています(宿題が出されます)。「自分で考えて書く」という作業が大切なのであって、間違っていても全然構いません。むしろ間違ってもらった方が、教える側としては有り難かったりします。その生徒の弱点が分かり、得点力を上げるポイントが容易につかめるからです。
受験生は、書くべし!そして 間違うべし!
実はこの方法、「試行錯誤して理解した事柄は記憶によく残る」という脳の構造にも合致しています。「書くべし!そして 間違うべし!」という方法は、経験的に正しいだけではなく、科学的にも正しい指導方法なのです。