子供に合わせない

私は自営業ということもあり、世間一般の勤め人の方々と比べると、我が子と過ごす時間が長い方かと思います。これは自営業の本当に有り難いところ。

生活の中で話す言葉や、ふだん聴く音楽を、子供に合わせる人もいるかと思うんですが、私はそれがとても苦手です。例えば、会話に幼児語を使うとか、ドライブの際にカーステレオで子供だましの歌を聴くとか。一緒に過ごす時間が長ければ長いほど、そうしたことは苦痛になるはず。

私の父母もそうでしたが、家の中で流れる音楽や、使われる言葉に関しては、子供の側が大人に合わせるべきだと考えています。何時までも幼児語を使う子供はいませんし、音楽だっていつまでも子供だましを聴いているわけにはゆきません。それなら、最初から本物の言葉や音楽に触れさせる方がいいんじゃないか。まぁ、本当は自分が合わせるのが面倒くさいだけなんですけどね(笑)。

正確には、我が子については、子供のことを気にして言葉や音楽を選んだりはせず、自分の好き勝手に話したり音楽を選択したりしているという次第。

先日、車内でエリック・ドルフィのアルバムを聴いていたときの話。助手席の息子が言います。「何なんこれ?すごい下手くそに聞こえるけど……」「おいおい、これは凄い演奏なんだよ。凄すぎて、子供にはまだ分からないだけ。お前にはまだまだ早いよ。まぁ、あと10年ぐらいしたら分かると思うよ。」「ふ〜ん。」

何でもかんでも分かるものばかり与えるのは、近代教育システムの欠点だ、なんていうと大げさ過ぎるんですが、「世の中は分からないものに満ちあふれている」ということを実感させてやったり、「今は分からないものが実はすごい価値を持っていることがある」ということを教えてやったりすることは、結構大切なんじゃないでしょうか。