朝夕がずいぶん冷え込むようになってきました。暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったものです。
読書に親しむのは秋に限りませんし、音楽も秋にだけ聴くものではありません。しかし、こういう季節になると、ちょっと秋らしい音楽を聴きたくなります。
私が特に秋を感じる曲をいくつか紹介したいと思います。
Paul Weller Black is the Colour
アイリッシュの伝統曲をポール・ウェラーが歌っているんですが、秋らしい切ない気持ちになります。歌詞がいいんですよね。
Black is the colour of my true love’s hair
Her lips are like some roses fair
She has the sweetest smile and the gentlest hands
And I love the ground whereon she stands
古風に訳してみるとこんな感じでしょうか。ちょっと上田敏(うえだ・びん)風に。
黒ぞ我が想い人の髪の色なれ
唇の朱なむ麗しき薔薇のごとき
愛しき笑みに優しき手
その立つ地までいと愛し
冒頭で示される黒と赤のコントラストから、想い人の美しさが想像されます。4行目はいかにもゲルマン民族風な発想。
David Sylvian / September
1分少々のごく短い曲ですが、イギリスの9月の風景を切り取った佳曲。毎年9月になるとこの曲を聴きたくなります。デビッド・シルヴィアンはとてもアーティスティックな曲を作る人ですが、この曲に至っては、ほとんど「蕉風俳諧」の域にまで達していると思います。長月の巡り来る、長月のまた巡り来る。
The sun shines high above
The sounds of laughter
The birds swoop down upon
The crosses of old grey churches
We say that we’re in love
While secretly wishing for rain
Sipping coke and playing games
September’s here again
September’s here again
矢野顕子 / ニューヨーク・コンフィデンシャル
オリジナルは加藤和彦(作詞は安井かずみ)。個人的には、オリジナルを軽く凌駕していると思います。秋のニューヨークってこんな感じだろうか。いつか行ってみたい街です。ちなみに、エッグベネティクトなんて料理は、この曲を聴いて初めて知りました。
Nina Simone: Love me leave me
ニーナ・シモンは(日本ではあまり売れなかったかもしれませんが)、大変実力のあるジャズシンガーだと思います。この曲のピアノソロを聴くと、いつもバッハを想起するんですが、この記事を書くにあたってWikipediaを見てみると、ニーナはクラシックの勉強からキャリアをスタートさせているんですね。さもありなん。秋の散歩にぴったり。
また塾とは何の関係もない音楽話になってしまいました。ちょっと英語も紹介したので、ご勘弁を。