松浦寿輝『川の光・外伝』を読み終えました。素晴らしさにため息の出るような短編集。「孤独な炎」は、深夜、布団の中で読んでいたんですが、涙がこぼれました。小説を読んで枕を濡らすなんて、俺は女子高生か(笑)。でも、本当に感動的なんですよ。
ストーリーはあえて書きませんが、小惑星探査機「はやぶさ」とフクロウ・ルチアの魂の交流を描くこの短篇、私の胸にグサッと刺さります。
機械である「はやぶさ」に魂があるのか。もっといえばモノに魂は宿るのか。もちろん、科学的に言えば荒唐無稽な話ではあります。しかし、「魂」って科学の話じゃないですよね。科学とは無関係な、もしくはそれを超越した範疇の話でしょう。
バイク店に行くと、バイクを「◯◯君」「◯◯ちゃん」と呼ぶ店員さんがよくいます。私が今足代わりに乗っているのは、ヤマハのトリッカーという、小振りなオフロード(もどき)車なんですが、購入前に試乗に行った際の話。
店員さん「トリッカー君はよく走りますよ〜」
私「へぇ〜、トリッカー君って航続距離どれぐらいですか?」
店員さん「トリッカー君はタンク容量が小さいんですが云々(技術的な話なので省略)。実はトリッカー君でこの間三重県まで行ってきたんですよ。」
私「ほぉ〜、トリッカー君、いいですね!」
家に帰ってから冷静に振り返ってみると、なんで擬人法やねん!と思うんですが(笑)、マシンを前に話しているときは、あんまり違和感がないんですよね。そういえば「ヤマハ・セローちゃん」(同じエンジンを搭載したオフローダー)の話もしたっけ。
ちなみに、モーターサイクルレース最高峰のレーサー達も、よくマシンのことを人称代名詞で呼んでいます。特に伝説的ライダー、ヴァレンティーノ・ロッシは、自分の乗るマシンのことをいつも人称代名詞「She」で表現します。
人間の思い入れが、モノに魂を吹き込む。それは子供じみたセンチメンタリズムかもしれません。でも、やっぱり、物にも魂が吹きこまれる、そしてその人の傍に寄り添ってくれる、そう思うのは楽しいことです。日本はアニミズムの国ですし、納得して下さる方も多いんじゃないでしょうか。