大学入試国語に関する指導をする際は、生徒さんの受けてきた模試問題を使って指導することもあるんですが、時々困ってしまうことがあります。
それは、「問題に対する解答が間違っている(と思われる)場合」です。
国語という科目の特性上、数学とは違って、完璧にクリアに詰め切れない部分がある程度出てくるのはやむを得ません。しかし、そうした解釈の「揺れ」のような部分が合否に関わるということは(ちゃんとした大学の入試であれば)、絶対にありません。
ただ、一定以上の知識を有する読者が冷静に読んだとき、まず間違い無くこう解釈するであろうという部分は、合否に直結します。もちろん、受験生としてもきちんと読み取らねばならない部分です。
私が困ったなと思うのは、そうした部分に間違いがあると思われる場合です。意外なことに、いわゆる特定の難関大学を対象とした模試にも、時々こういう問題はあるんですよね。
実際に出題された大学入試問題の解説書であれば、「これは解説者が勘違いしていると思います。おそらく『・・・』と考えるべきであって、そちらの方が説得力が高いですよね?ということで、正解は『・・・』と書くべきだと思います。」で済みます。
ただ、模試の場合は、そうはいきません。模試問題の場合、出題者が解答や解説を執筆していることが多く、おそらくはそうした方が採点基準もお決めになっているはず。そして、その採点基準に従って、バイトの学生が採点をしているはずで、私があれこれ言ってみても、得点は変わりようがありません。
かといって、わざわざ間違いを書こうと指導するのもヘンな話ですし……。模試のその部分の得点について諦めざるを得ないのが、どうも納得できない(笑)。
私が見させてもらっている範囲であれば、得点はともかく、それがおそらく出題者の勘違いであり、本来はこうした解答が正しいであろうと思われるということを伝えれば済むんですが、指導者から指導を受けていない受験生や、質問して疑問をただす機会を有しない受験生にとっては、こうした問題は結構困りものだと思います。
自分の考え・解答が採点者に評価されず、復習しようと模試の解答・解説を読むと、確かに考え方や論理が異なっている。でも、その論理や表現は、どうも腑に落ちない。そんなものなのかなと思って何とか納得しようとするも、なかなか頭に入ってこなくて悩む……。
こうした場合、たいていの場合は受験生の側の間違いであろうと思うんですが、場合によってはやはり出題や解説がおかしいということがあります。こういう場合は、論理がなかなか頭に入らなくて当たり前。悩む人はむしろ読解力が高いとも言えます。真剣な受験生を迷わせる問題は罪作りですが、何度も冷静に考えておかしいという結論に至った場合は、できるだけ学校や予備校・塾の先生に、疑問をぶつけてみるといいだろうと思います。
現代文の場合、批判的に問題の解答や解説を検討することは、学力向上に大いに役立ちます。納得できない問題の得点はひとまず横に置き、出題文筆者は本当は何を伝えたかったんだろうかということを真剣に考えてみるのは悪いことではありません。