子供の成績と親の年収

ちょっとデリケートな話題なので、取り上げるべきかどうか迷いましたが、思うところを書いておきたいと思います。

朝日新聞 2009.08.05 の記事
「成績と親の年収、比例する傾向 小6学力調査を国が分析」

(上記記事より引用)
全国学力調査の結果を分析したところ、保護者の収入が多い家庭、教育支出が多い家庭ほど子どもの成績がよくなる傾向があることが、文部科学省がお茶の水女子大学に委託した調査で確認された。

細かいデータは省きますが、国語の知識問題で見てみると、以下の通りです。
年収200万円未満の家庭の子ども→正答率56.5%
年収1200万円以上1500万円未満の家庭の子ども→正答率78.7%
22.2%も差があることになり、有意的な差だと言えるでしょう。

上記のような事柄は、「金銭的余裕がある→教育費にお金をかけられる→子供が賢くなる」という因果関係で説明されることが多いわけですが、個人的には違和感があります。そういう因果関係を否定まではしませんが、もっと根本的なところに本質的な原因がありそうな気がします。

そもそも、各家庭にはそれぞれの力量があると思うんですよね(この力・レベルをここでは「家庭力」とでも名付けておきましょう)。この「家庭力」は、家庭を組成するメンバーの数、知性・教養、健康度、価値観、親密度など様々な要素がない交ぜになって形づくられるものですから、数値で表される単純なものではありません。そして、こうした「家庭力」が高い家庭は、必然的に収入が高くなり、逆に低い家庭は、収入が低くなる、という傾向があるんじゃないでしょうか。子供の学力もまた然り。

つまり、家庭力高い→収入高い / 家庭力高い→成績良い という因果関係が根本にあるのであって、収入高い→成績良い という因果関係はどちらかというと的外れなのではないか、という風に私などは考えてしまいます。

いずれにせよ、私が言いたいのは、「親の収入が低いから、勉強ができなくても仕方がない」などというあきらめ・言い訳は馬鹿げているということです。「親の収入が高いから、あいつは勉強ができるんだ」という妬みも同様に愚かです。

もちろん、お金がないと解決できない問題も世の中には多いと思います。しかし、こと勉強に関しては、己を高めて行こうという真剣な気持ちさえあれば、何とかなります。逆にそうした気持ちがなければ、いくら金銭的な余裕があっても空回りに終わります。ほら、いましたよね、お腹が痛いからと辞任しちゃった総理大臣。家系的には申し分なく、金銭的余裕もあり、小学中学高校時代には最高の家庭教師が専属で付いていたと聞きますが、勉強の方は……。

「勉強して賢くなることは素晴らしい」「努力して向上してゆくことは素晴らしい」という価値観や生活態度を、親や子供が本気で共有できるか、それが大きなポイントになっている。私はそう思います。上記新聞記事のデータも、「家庭力」の高い家庭がそうした価値観や生活態度を共有しており、結果として、高い収入・良好な成績につながった、と読めるんじゃないでしょうか。

「親の経済力が高い→子供の学力が高い」(and vice versa)と短絡的に考える風潮は、やや危険なように思います。