濃いコンビニ

少し前の休日。かなり朝早くに家を出てバイクで田舎道を走っていた時の話です。

トイレを借りようとコンビニに入ったんですが、田舎に行くと時々ありますよね、個人経営のコンビニ。セブンイレブンやローソンのようなチェーン店ではないので、悪く言えば洗練されていないんですが、良く言えば独自色があります。

私が入った店も、ちょっとした農作業着や生活用品が置いてあって、言うなれば昔あった「万屋」的なムードの店。客は私の他に一人二人だけ。店舗面積が広いこともあって、都会のコンビニとは異なるまったりしたムードが流れていました。

店内では、お店の方とおぼしき高齢女性と、お客と思われる高齢男性が話していらっしゃいます。で、その高齢男性が妙にロックテイスト。否、かなり攻めたロックテイスト。大げさに言えばロブ・ハルフォードみたいな感じなんです。

ご存知でない方に説明しておくと、ロブ・ハルフォードはヘヴィメタル界の大御所。「メタル・ゴッド」とも称されるヴォーカリストです。彼の率いるジューダス・プリーストはもうあまりにもヘヴィメタヘヴィメタしていて、逆にヘヴィメタルを戯画化しているのかと思うぐらいです。悪口を言っているのではありません。ツインギターに合わせて超ハイトーンヴォイスで歌う彼、嫌いじゃありません。彼を日本的に戯画化したのがお笑いのレイザーラモンHGなので、そちらの方が通りがいいかもしれませんけれど。フォー!

Judas Priest – Painkiller (Official Video)

先の御高齢の男性(以下ロブ)、店頭に置いてあったミニコミ的なチラシを見て、なにやら店の方と話しています。

店の女性「それ、村のパトロールちゅうて、○○さんが始めはったんやで。ときどき村を巡回しはるんやて。こどもの登校時間とかを中心に。ボランティアらしいけど、ええ話やな思て。そや、ロブさんもあんたぴったりやがな。あんたもやらはったらどない?」

ロブ「いや、わしはええわ。そういうのん好みやないねん。」

うんうん、ロブが村内巡回してたら子供らもちょっとビビるし、やめといた方が賢明だと思う(笑)。

で、店の女性がバックヤードに引っ込んだ後も、そのチラシをじっと見つめるロブ。好みじゃないって言ってたけど、本当は村のためになりたいなんて思ってらっしゃるのかなとチラチラ横目で見ていると、いきなり「ブ〜〜ッ!」。

いやいや、おならはもう少し遠慮してしようよ、ロブ。ほんまにキャラ濃いわ〜と思いながらお菓子の棚を見ていると、また大きな音で「ブ〜〜ッ!」。いや、だから見知らぬ客(私)もいるねんから、頼むわ……。

で、お店の方が大きな商品を台車に載せて運んできました。他のお客さんのための品物のようです。

「お〜い、●●さ〜ん!商品出してきたよ〜!お〜い、●●さ〜ん!」

呼ばれている●●さん、なかなか出てきません。

「お〜い、●●さ〜ん!お〜〜〜〜〜〜〜い!お〜〜〜〜〜〜〜い!」

ロブとはまた別の高齢男性が飛び出てきました。「お茶!」

「ふふふ、『お〜い、お茶』ってな。『お〜い、お茶』。」

ご満悦の高齢男性(以下お茶)。伊藤園の回し者かよ!伊藤園新俳句大賞でもねらってるんすか!とツッコミたいところですが、見知らぬお爺さんなので、グッと我慢です。

店の女性「あんた、うまいこと言いなはるな!あははは!」

お茶「うん、うまいこと言うたやろ。あははは!」

二人でめっちゃ受けてるし……。

お取り込み中のところすんませんと、チョコレートを購入して店の外に出ようとする時、またまたロブが「ブ〜〜ッ!」。

もう登場人物全員のキャラが濃すぎて濃すぎて。またこの辺りを走ることがあれば立ち寄ることに決定(笑)。