芸能人と刑事裁判 #2

前回の続きです。

私が中学生の頃になりますが、『プロポーズ大作戦』というTV番組がありまして(懐かしいという方は私と同世代ですね)、その公開録画会場に友人と出かけたことがあります。一応、高校生以上が対象だったんですが、まぁ、そこは適当につくろって(笑)。

で、その日の歌のゲストが先述のH.K.氏。デビューしたての無名の頃で、20代前半でしたでしょうか。確かにハンサムで格好のいいお兄さんです。

収録は順調に進んで、ステージは彼の歌へと進んでゆきました。歌い出す彼。ずっこけるぐらい下手くそなのは、まぁ我慢しましょう(口パクにしておけばいいのに……)。

イントロが終わり30秒ほど歌ったところで、手を挙げる彼。

「すいません、今のじゃダメです。もう一回やらせて下さい!」

再度スモークや照明の準備をするスタッフさん。観客はもう一度拍手をさせられます。

イントロが終わり30秒ほど歌ったところで、また手を挙げる彼。

「やっぱり今のもダメです。もう一回やらせて下さい!」

またまたスモークや照明の準備をするスタッフさん。時間も手間もかかるので大変です。しばし待った後、観客はまたまた拍手をさせられます。

三度目の正直。イントロが終わり30秒ほど歌ったところで、また彼が手を挙げる!

「またダメです。もう一回最初から歌います!」

さすがにスタッフさんもイライラしているのが分かります。観客も明らかにざわつき始めていました。どうせ下手やねんから、どうでもええやんか(怒)。

四度目。またまた彼が途中で手を挙げる!

「もう一回最初から歌います!」

スタッフさん切れかけ。観客からも「おいこら!」という声が上がる。

結局、彼は五度目にして最後まで歌い終わったのでした。どこがどう改善されたのか全く分からない。今の私なら、確実にヤジを飛ばしていると思います(笑)。

他の芸能人(横山やすし・西川きよしなど遥かに格上の人達)や多くのスタッフ、そして千人以上のお客さんを、自分の都合で平気で待たせるというその神経に、あきれかえったことを覚えています。駆け出しのペーペーですよ。一回でビシッと決めるか、失敗は失敗として流すかどっちかにしてくれよ。

その後のトークも、なんだか自己中心的な彼の心根が見えて、寒い空気が流れていました。

「あいつ、格好はええけど、めっちゃアホやな」「おれ、めっちゃむかついたわ!」「あれ全部放送したったらええのに」などと悪態をつきながら、浪速の中学生たちは帰路に就いたのでした(タダ見なのに偉そうな奴ら)。

その後、H.K.氏は有名人となっていったのですが、不祥事を起こし、民事裁判だけではなく刑事裁判沙汰にもなっていったことは皆さんもよくご存知かと思います。

やっぱり、あのときに垣間見えた自己中心的な姿勢は変わっていないんだなぁ、としみじみ思った次第。


YouTubeで検索してみると、その時の歌がありました。レコードですから、加工されていますが、生歌は音程ズレズレだったことを付言しておきます。ご覧になることはお薦めしません(笑)。

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