腹を据えよ ― コロナウイルス禍

2020年の春がこんな騒ぎになるなんて、昨年末には思いもしませんでしたよね。「全部ウソだったんだよ〜」とエイプリル・フールのように流すことができればいいんですが、現実は重くのしかかってきます。

国内ニュースは勿論、世界のニュースにも目をやり、塾運営をどうすべきか考える日々。科学者の意見や研究は傾聴に値するものが多いのは当然ですが、正直に現実を伝えようとする国家・自治体のリーダーの言葉にも、今回はなかなか見るべきものが多いんですよね。

日本の政治家はそこまで腹が据わっているようには見えませんが、欧米の政治家(またはそのブレーン)が、新型コロナウイルス感染による予想死者数を明確に示しているのは、個人的には好感が持てます。

(CNN) 米国のトランプ大統領は31日、ホワイトハウスで記者会見し、新型コロナウイルスによる米国の死者は10万人を超え、最大で24万人に達する可能性もあるとの見通しを明らかにした。
CNN.co.jp : これから2週間は「痛みを伴う」厳しい状況、死者10万人超を予想 米大統領 – (1/2) より引用

「大丈夫だよ、国がちゃんとするからね、国民は安心していていいよ〜」と何の根拠も数字も示されず、どんどん悪い方向へ導かれるよりは、はっきりと厳しい現実を示してもらう方が、国民にとってはよほど良心的に思えます。

個人的には、トランプ大統領のような指導者は好みではありません。しかし、今回の発表などはアメリカ国民はもちろん、日本国民にも大いに有益な数字ではないかと思います。医療状況や国民性が大きく異なるので、完全に比例するわけではないですが、人口3.3億人のアメリカ合衆国で最大24万人が死亡するのであれば、「人口1.26億人の日本では、今回のコロナウイルス蔓延により最大9万人程度が死ぬ」と推定できるわけですから。

この数字をどう捉えるのか。パンデミック宣言がなされる前に、英国首相のボリス・ジョンソンも「近しい人や知り合いの死を覚悟せよ」と述べてバッシングを受けていたんですが、個人的には正直な物言いだと思いました。「腹を据えろ」という責任感のあるメッセージですよね。

今回のコロナウイルス禍がどのような帰結を迎えるのかは、私には分かりません。というか、誰にもわからない。ただ、国家や国民に大きな犠牲が生まれることは間違いありません。

その上で私はこうも思います。このウイルスによって命という犠牲を払うのは、ほとんどの場合高齢者・中年以上の者である。幼い子供達や学生達がバタバタ倒れていくような病気ではない。それは大きな救いではないか。逆であるならば、切なすぎて居ても立ってもいられない気がするけれど、年老いたものからこの世を辞するのであれば、それはほぼ自然とも言えるのではないか。

極めて不道徳なことを言っているのかもしれません。お気を害されたなら、前もって謝っておきます。ただ、私自身中年ですし、もし仮に自分が死なねばならないという事態になっても「仕方ないかな」ぐらいには思えそうな気はしているんですよね、何となく。もちろん自分から死のうとは夢にも思いませんし、健康にも留意していますが……。

結局、腹を据えて日々を過ごすしかありませんね。